『我々の名は聖別の火!前皇帝アレクサンドルの血を引くニコライ・アレクサンドロヴィチ・ロマノフへの断罪を!!』
機体のスピーカーから発せられる、熱狂に浮かされた声明が爆音の中に溶け込んでいく。
瓦礫と粉塵が舞う視界の最悪な状況下で、セロニカが迷いなく路地裏を駆けて避難所へと向かっていく。
[120m先をミギホウコウ.オチツイテクダサイネ.パニックニナラナイヨウニ]
スマートウォッチは皮肉なほど冷静にホログラムを出し続け、無機質な機械音声を流しながら避難案内をする。
だが、現実はその案内を嘲笑うかのように崩落を続けた。
ドォオン!
セロニカ 「キャ!!」
至近距離での着弾。
爆風に煽られながらも、彼女は必死に足を動かす。
大通りでは、重厚な駆動音を響かせるリグマシーナギアが、組織の旗を掲げて叫び続けていた。
アレクセイ
「なんなんだよ、なんなんだよ、なんだよ、なんなんだよなんなんだよ!!」
―
金髪の少女とその母親らしき人物が、銃を持ったリグマシーナギアの前に立ち尽くしている。
あぁ、空港に居た少女だ。
何かを話してる。母親が必死に命乞いをしてるのか、それとも子供を庇っているのか。
ハッチが半開きになった暗いコックピットの中、テロリストの顔が見える。
大義という名の自己洗脳に染まりきった、恍惚とした若者の顔だ。
ぁ…………声が聞こえた。
『地球にばっか資源を集めるからこうなるのだ!貴様ら逃げ込んだ市民も同罪だ!!』
引き金が引かれる直前、衝撃で少女のバッグからたくさんの飴が溢れ出した。
石畳の上を転がる色とりどりの包み。
この後舐めるつもりだったのか、それとも貰ったように誰かにあげるつもりだったのか。
そんなささやかな願いは、銃声一つで帰される。
貧乏人の反抗、レジスタンス、聖別、生活のお金を兵器を買うお金に変える。
あまりにも愚かしい一幕。
―
狭い路地裏へ滑り込み、三人は壁に背を預けて荒い息を吐く。
セロニカ
「ねぇ、、2人ってユーリとアレクセイって言うんでしょ?、、学生証さっき書いてあったよね、これ終わったら、、デートしてね」
死の恐怖を、無理やり日常の記号で塗り潰そうと切実に足掻く。
ユーリ
「はは、、それ今言う?」
乾いた笑いを漏れる、。
アレクセイ
「、、っ、、、、はは、、、、ラノベの死亡フラグじゃんそれ、、そんな事、、言うなよ、、」
日常とはいとも容易く破壊させられる。
たくさんあった飴は側溝へと流れ落ちていく。
