34話:少年XX

宇宙船の中、ドーム状の広場。

窓の外には、遠ざかる地球の輪郭が青白く輝いている。

しかし、その美しさを享受する余裕など、今の彼らには微塵もなかった。

マチル

「で?、、、お前らはこれからどうする?」

マチルの問いかけに、アレクセイとユーリは配給されたサンドイッチを無機質に口に運びながら、重い口を開いた。

パンの乾いた感触が、喉を通るたびに不快な音を立てる。

アレクセイ

「、、、これから、、、、、」

ユーリ

「あの、、正直、、、気が動転しててよく分からないんですけど、、、状況」

マチルが机のボタンを指先で叩くと、空間に青いホログラムが展開された。

ニュース映像がノイズと共に浮かび上がり、アナウンサーの無機質な声が響く。

『今回の事件学園都市アカデムグロードでの犯行は聖別の火と名乗るレジスタンス集団との情報です。重要参考人としてアレクセイ・ミラー、ユーリ・カザニヤフの学生2名を探しています。情報が何かあれば警察までお願いします。』

アレクセイ

「、、、、、、、ぇ、、、、、、、、、、、ちが、、、俺は」

ユーリ

「どういう事なんですか、、、何で僕らが、、、別に僕らは」

自分たちが被害者ではなく、テロリストの協力者、あるいは主犯格として指名手配されている。

その現実に、アレクセイの指が震え、サンドイッチからレタスが零れ落ちた。

マチル

「、、、アレクセイかユーリ、、どっちかは知らんが聖別の火の機体23機がたった1機にやられてたんだ、、そりゃお前らが重要参考人だろ」

アレクセイ

「あれは! あのロボット達が襲ってきたから!」

ユーリ

「、、、、、家に帰れないんですか」

マチル

「無理無理、、、学園都市の部隊は最強だったんだ、、、情報が交錯してるとはいえ犯人はお前らだ」

マチルは冷徹に事実を突きつける。

最強の部隊を壊滅させたという「異常な結果」の前では、動機や真実など、帝国にとっては些細な問題でしかなかった。

ユーリ

「犯人じゃ、、でもなんで僕らを、、、」

マチル

「気分、、それだけだね」

ユーリ

「これからどこに連れてかれるんですか、、僕らは」

マチル

「とりあえず月都市13号アポロだね」

ユーリ

「、、、、、、どうして、、そこまで、、、」

マチル

「、、、、、、どうさな、、、聖別の火はレジスタンスとは言われてるがただのカルト教団だ、、、アンタらを帝国に引き渡した所で裁判も情報引き出しもアンタらには何もないからその場で殺されるだけ」

アレクセイ

「、、、、、、、、なんで、、、俺は、、、、ただ、、、、、、、、」

ユーリ

「理由になってませんよ」

マチル

「子供を死なせたくない、、納得する理由なんてもんはただの我儘だ、、アンタら二人は年齢も若く、経験も浅く、能力も無く、ただの庇護される存在なんだ、、文句言うんじゃないよ」

その傲慢な態度が、ユーリの中に潜んでいた反抗心に火をつける。

ユーリ

「それなら救う理由はありません、、、何を隠してるんですか」

マチル

「何でも知りたがる男ほどモテない男は居ないよ」

ユーリ

「おばさんを好く物好きな若者はいません!」

マチル

「なんだとこのがき!」

マチルが椅子を蹴り飛ばし、ユーリにつかみ掛かろうとするのを、傍らにいたデニスが必死の形相で取り押さえる。

デニス

「わぁちょちょちょ、、なんで最後までカッコつけないんですか! そこでキレるからいつもいつも、、ちょまてって、、やめろおおおおお」

アレクセイ

「、、、、、、母さん、、、もう、、帰りたい、、、」

カオスと化した空間で、アレクセイだけが膝を抱え、幼子のように呟いた。

その弱々しさが、かえって周囲の騒がしさを煽っていく。

デニス

「帰りたいって言ってんじゃないよ! ちょ!」

ユーリ

「ババア! ババア! バーカ! いつまでもモテると勘違いしてるんじゃないよ! お! ば! さ! ん!バーカ!!そうやってなんでもかんでも救えると思うなよ!!ババア!!!!」

デニス

「おい! ちょっと待て! なんでこの子こんな口悪いの!? ちょアレクセイ・ミラー! お前の仲間だろ!? どうにかしろよ!!」

アレクセイ

「ぅぅ、、、、家に帰りたい、、、、、、」

デニス

「だぁ!!!! なんなんだこれ!!!!だからガキは嫌なんだ!!!!」

 窓の外では、月が静かに彼らを待っている。

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