21話:FRONT

ドォオオオオン!!

鼓膜を破らんばかりの衝撃が走り、爆発的なエネルギーがトラックを翻弄する。

視界は一瞬で巻き上がった砂煙に覆われ、アレクセイたちは無慈悲な重力に従って地面へと叩きつけられた。

アレクセイ

「ぐっ、、ぁ、、かっ、、はぁ、、はぁ、、、、、」

肺から空気が絞り出され、喉の奥に鉄の味が広がる。

アレクセイは荒い呼吸を繰り返しながら、痛む身体を無理やり動かした。

隣では、潰れたダッシュボードの隙間でセロニカが弱々しく声を漏らしている。

セロニカ

 「ぅぅうう、、、え、、エアバッグが作動したおかげで、、、せーーーーーふ、、、、いたい、、、けど、、、」

脂汗を流しながらも生存を確認する彼女の横で、ユーリもまた、歪んだ車体から這い出そうともがいていた。

ユーリ

「っ、、、、、はぁ、、こっから、、どうすんの、、、これ、、、」

絶望的な問いかけが響くが、アレクセイの意識はすでに次の一手へと向かっていた。

彼はふたりが衝撃で倒れ込んでいるのを横目に、ひしゃげたトラックの扉を渾身の力で蹴り飛ばす。

嫌な金属音を立てて外れた扉の外へ、彼はふらつく足取りで歩み出た。

アレクセイが宇宙を見上げる。

そこには、自分たちをネズミのように追い回し、弄んでいたテロリストのリグマシーナギアが滞空していた。

スラスターを傲慢に噴かし、高みから地上の惨状を見下ろす赤いモノアイ。

アレクセイ

(、、、、、さっきの駐車場まで戻ってきたのか、、、どうする?、、どうしたら、、)

脳が解決策を求めて加速する。

その視界の隅、衝撃でトラックの荷台から投げ出された物が目に留まった。

ラッシングベルトが割れ、中から剥き出しになった巨大な鋼鉄の四肢。

アレクセイはそれに惹かれる様に近づいていく。

アレクセイ

 「リグマシーナギアだ、、でも、、この装甲、色合い、、、畑にあるやつでも、、軍にあるやつでもない、、、」

異様なまでの威圧感を放つ漆黒の機体。

アレクセイは導かれるようにその脚部を登り、リグマシーナギアに触れコックピットを開く。

アレクセイ

 「!、、、、開いた、、、(やつは?、、なぜずっと空に?、、降りてこない?、、なんで?)」

不可解な敵の静止。

アレクセイは上を警戒しながら乗り込み、その狭く、それでいて機能美に溢れたコックピットに身を沈める。

レバーとスイッチの感触を確かめ、システムを起動させる。

アレクセイ

 「(俺がやってる事をみえてない?、、、AI、、いや、、遠隔捜査なのか、、、さっきの動き、、)」

敵の動きの違和感を瞬時に分析し、彼は次々とコンソールのスイッチを叩いた。

眠っていた巨人が、微かな駆動音を立てて目覚め始める。

ウゥン!

突如、コンソールの中心部から無機質な青い光が溢れ出した。

アレクセイ

 「生体認証プログラム?、、、なんでそんなものが、、っ、、、なんかのバグで動いてくれよ」

焦燥に駆られ、アレクセイが機器の中央にある認証装置に手を置く。

その瞬間、極細の痛みを感じない針がアレクセイの掌に突き刺さった。

彼の遺伝情報を直接読み取るかのように、血を取り込み、認証のパーセンテージが爆速で上昇していく。

アレクセイ

 「!、、、、、これは、、なんだ、、初期設定プロトコルか、、びっくりした、、、、、これなら動く、、、」

カチリ、と全てのロックが外れる音がした。

アレクセイは、メインモニターの隅に、императорという文字が静かに、しかし鮮烈に表示されたことに気づかずに。

グゥウウン!

アレクセイの乗るリグマシーナギアが真の起動を果たし、双眸に鋭い光が灯る。

大気が震え、周囲の砂埃が円を描いて吹き飛んだ。

ユーリ

 「?、、、アレクセイ?」

ようやっと痛みが引き、トラックの残骸から這い出てきたユーリとセロニカは、アレクセイの突拍子もない行動に気圧される。

その圧倒的な機体の輝きと、コックピットに鎮座する友人の姿に、息を呑むことしかできない。

アレクセイ

「(、、、帰る、、帰る、、ユーリとセロニカを連れて帰る、、あとは、、あとはどうにでもなるはず!)」

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