20話:2分30秒

ブゥゥウウウン!!!ウウウウゥウウウウン!!

地下駐車場の重い空気を切り裂き、トラックのエンジンが悲鳴を上げる。

 バックミラー越しに迫る赤いモノアイ。死神の鎌が届く前に、アレクセイはアクセルを床まで踏み抜いた。

アレクセイ

「逃げる、、逃げるよ絶対!」

セロニカ

「うん!」

返事と同時に、ユーリが身を乗り出した。その手には、備蓄庫で急造した「細工」が握られている。

ユーリがガス缶をテロリストのリグマシーナギアに投げつける。

着弾の瞬間、ユーリが細工したものが作動し、目の前で轟音立てて爆発する。

ユーリ

「アレクス!!!」

爆炎と黒煙が敵機の視界を遮る。アレクセイは呼応する様にトラックを発進させる。

タイヤがアスファルトを噛み、トラックは螺旋状の坂道を駆け上がり上へ上へと走っていく。

セロニカ

「この後は!?どうすんの!!」

アレクセイ

「とりあえず敵が来る前に撒いて脱出!港まで行けば軍が居るはずだからアイツらも手を出せない!」

ユーリ

「追ってきた!!来たよ!!」

コンクリートを削り取る不気味な金属音が、螺旋階段の下から響いてくる。

リグマシーナギアがドンドンと音を立てて追ってくる。その巨体からは想像もつかない速度だった。

アレクセイ

「リグマシーナギアは地上用だけどキャタピラついてないよな、、そりゃ」

アレクセイが毒づいた瞬間、背後から強烈な熱源反応が迫る。

セロニカ

「きたきたきた!!やばい!!とんで、、飛んでる!?????飛んできてる!!!」

ユーリ

「嘘、、、、だろ、、、軍用で、、宇宙で使うやつじゃないか、、、」

アレクセイ

「っ!!、、、なんなんだよ!」

重力を無視したような跳躍。アレクセイはさらに加速し絶妙な加減でハンドルを切り、螺旋を駆け上がっていく。

テロリストのリグマシーナギアは制御できずに壁に突っ込むが、火花を散らしながらも何事もなかった様にスラスターを噴かし追ってくる。

セロニカ

「どうしたらどうしたら!やばいよ!大変だよ!!」

アレクセイ

「わかってる!」

これ

以上の加速は死を意味する。だが止まれば殺される。

アレクセイはさらに加速させ、とうとう駐車場の最上階、逃げ場のない屋上に着いてしまう。

テロリストのリグマシーナギアは、ゆっくりと銃を向ける。

ドォン!ドォン!ドォン!

どこからか爆発の音が聞こえる。

それは三人の絶望を煽るための、カウントダウンのようでもあった。

目の前に居るリグマシーナギアはその場で宙に浮き、アレクセイ達ではなく、まるでゲームでキャラを遊び殺す様にある柱に向けて発射する。

崩れゆく支柱。構造上の限界を超えた床が、波打つように歪み始める。

アレクセイ

「、、、、、、、ふざけるなよ!!、、、ユーリ!セロニカ!全力でシートに捕まれ!」

アレクセイの瞳が、崩落の軌道を一瞬で計算し尽くす。

アレクセイに指示に呼応して二人が指示に従った瞬間、床が完全に抜け、トラックはドンドンと下の階の床に叩きつけられながら落ちていく。

重力と衝撃。視界が白く染まる。

ッガアアアアアアアアアン!!!!

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