黒い機体のコックピット内で、アレクセイは荒い呼吸を繰り返しながら、目の前のレバーに指をかけた。
システムの青い光が彼の顔を冷たく照らし、未知のインターフェースが絶え間なく情報を更新し続けている。
アレクセイ
「、、、これ?、、スラスター?、、っ、、わっ!!!」
慎重に触れたはずの操作系は、彼の予想を遥かに上回る感度で反応した。
機体背部のスラスターが猛烈な火を噴き、バランスを崩した漆黒の巨躯が、コンクリートの床に大きな音を立てて倒れ込む。
アレクセイ
「っ、、、ぅうう、、畑で手伝った時とぜんぜん、、ちがう、、、」
農耕用の鈍重な動きとは比較にならない。
無様に転倒したその隙を、空中の獲物が見逃すはずもなかった。
空に浮かぶリグマシーナギアはアレクセイが動かしたリグマシーナギアをロックオンして加速して降りてくる。
アレクセイ
「は、、ちょ、、ま、、俺は、、っ、、、うわ!!!」
落下速度を乗せた質量弾と化した敵機が、アレクセイの機体にそのまま突っ込んでくる。
凄まじい衝撃音が駐車場に反響する。だが、信じがたいことにアレクセイの機体はびくともせず、その衝撃のまま後ろに下がるだけだ。
アレクセイ
「はぁ、、?、、、う、、、うわ!!、、、」
モニター越しに、至近距離で敵のモノアイと視線がぶつかる。
アレクセイの前に居るのは昨日人を殺した兵器、ゴミの様に人に銃を放ったどうしようもない悪。
これ以上の対話など不要だった。
アレクセイは震える手で外部拡声器のスイッチを入れる。
アレクセイ
「ユーリ!セロニカ!!柱の影!!」
その怒鳴り声に弾かれるように、ユーリとセロニカは顔を見合わせて柱に隠れその様子を見守る。
アレクセイ
「ぶっ潰してやる!」
『キュリリリリ』
アレクセイの咆哮に対し、返ってきたのは無機質な電子音だけだった。
アレクセイの目の前にいる、テロリグマシーナギアは喋る気は無いのか機械の駆動音しか聞こえない。
アレクセイ
「な、、やっぱり、、AIなのか?、、、っ、、自分で殺す事もしないのか!!」
否。
機体の中に人は居る。ただ
それがAIや機械にしか思えないほど、合理を追って非合理しかしないのだ。
あまりにも無為で無意味で、他者への想像力の欠如からしかできない残虐な行為。
合理主義者でも非合理主義者でもなんでもないただの想像力の欠如。
人は自分しかわからないのだ。所詮想像力なぞ大多数が抱く幻想に過ぎない。
だから親を持つ子供を、子供を持つ親を殺せてしまう。
人間とは………………
アレクセイ
「違う!!!そんな理屈で!!そんな訳ないだろ!!想像力だとかじゃない!単純に殺して良い訳ないだろ!!ふざけるな!!!」
グゥウウウウウン!!
アレクセイの乗るリグマシーナギアが大きく唸りを上げた。
