マチル
「、、、、、、で?この子供はなんだ?」
船内の騒がしいメインブリッジ。マチルが背もたれに深く体重を預け、アレクセイとユーリが連れてきた新しい同乗者を値踏みするように見つめた。
ユーリ
「セナ・オディキュラム、、あぁ、、えぇと、、、ケーニッヒ・クラムの子孫、、、らしい?、、です」
マチル
「ほぉん、、、、それで?」
セナ
「ここに私を置いてくれませんか、、、何でもします」
セナが絞り出すような声で告げる。その細い指先は、自分の腕を強く掴んで微かに震えていた。追われる身となった恐怖か、あるいは未知の環境への緊張か。
マチル
「、、、、、、、、それは良いぞ、、別に、、、出来ることは?」
セナ
「機械、科学ならデータ処理から設計、組み立てまで、、、なんでも」
マチル
「別に女に困ってねぇよこの船、、アレクセイとユーリくらいしか欲しがる奴はいねぇよ」
ぶっきらぼうなマチルの言葉に、セナの表情が強張る。
セナ
「、、、、、え、、、はぁ、、、でも、、、」
デニス
「まぁ気にしなくて良いんじゃねぇの、、どうせこの船で性欲持て余すのはアレクセイとユーリくらいだろ」
デニスが茶化すように肩をすくめた。
ユーリ
「ちょっと!!」
アレクセイ
「、、、、、、、、、?、、、、、、、、」
状況が飲み込めていないアレクセイは、ただ無言で首を傾げている。
ラジェシュ
「ふぅむ、、、別になぁ、、、まぁ、、良いんじゃない?、、女子部屋使うだろ?言って来るわ」
ラジェシュが軽い足取りで居住区の方へ歩き出す。
セナ
「、、、、、、、、なに、、この船、、、なんか、、、」
ユーリ
「、、、、、マチルさん!この人24ですよ!アレクセイは16歳ですよ!ダメなんじゃ無いですか!こういうの!!」
ユーリが保護者のような勢いでマチルに詰め寄る。
マチル
「、、、えぇ、、、いやまぁ、、別に、、、人様の恋になんで口出ししなきゃいけないんだよ」
ユーリ
「それはこう、、、健全な、、成長的な!」
マチル
「いやお前ら2人指名手配なんだから健全がどうとかって、、、」
マチルのもっともな指摘に、ユーリはぐうの音も出ない。
ラジェシュ
「ふぅむ、、アレクセイ、、、ほどほどにな、、体小さいんだからセナちゃん」
居住区へ向かう途中のラジェシュが、すれ違いざまに余計な一言を置いた。
アレクセイ
「何が?」
ユーリ
「ちょっとそこ!!アレクセイに余計な事吹き込まないでください!」
ラジェシュ
「じゃあね〜」
ひらひらと手を振り、ラジェシュは消えていく。
デニス
「マチル団長こっからどうすんです?目的地は」
マチル
「あぁ、元々の目的地で今回鹵獲した3機のリグマシーナギアを売って、ちょっとした休暇だな」
デニス
「エルクールコロニーっすね、、、こっからだと、、まぁ慣性航行で2日くらいっすね」
マチル
「ふむ、、、まぁいいか、、、カナリアが来るまでを考えるとどうせ5日はかかる、、休むと積み荷を直すので、、、、、、」
マチルが今後のスケジュールを頭の中で組み立て始めたその時、オンバスの野太い声が響く。
オンバス
「出てって良いぞ!!アレクセイ!ユーリ!セナ!!!」
デニス
「じゃあ俺がお目付け役して来るわ」
シェルフ
「ぁ、、、会議から逃げた」
デニス
「るっせるっせ」
デニスはシェルフの追及を鼻で笑い飛ばし、戸惑う子供たちを促してブリッジを後にした。
月の混乱を背に、船は静かに、けれど着実に次の目的地。エルクールコロニーへと進路を取った。
