アレクセイ
「、、、、、エンジン、、、ふむ、、、かかったまんまなのか、、やっぱ」
コクピットの計器類が瞬時に覚醒し、淡い光がアレクセイの横顔を照らす。
ハッチを閉じた密室内で、セナは周囲のコンソールを食い入るように見つめ、驚愕に目を見開いた。
セナ
「は!?これ、、、レジデレンス社の、、こっちはマオアエル社の、、なにこの機体!?」
セナの指が、まるで職人のように目まぐるしくスイッチや配線に触れていく。
アレクセイ
「邪魔なんだけど」
セナ
「なに!?この機体なんなの!すごいわ!これ!」
アレクセイ
「知らない、、、友人も守れない使い物にならない機体でしょ」
自嘲気味に吐き捨てられたアレクセイの言葉に、セナはコンソールから顔を上げ、彼の瞳を真っ向から射抜いた。
セナ
「機体に良いも悪いも無いわ、使い手が悪かっただけじゃない?」
アレクセイ
「、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、うるさい」
対話を拒絶するように、アレクセイがレバーを叩き込んだ。
ウゥウウウン!!!!!!!!
キィィィィィィイイイイイイイイイイイン!!!!!!!
耳を裂くような高周波が狭い機内に充満し、エンジンが不快な風切り音を周囲に撒き散らしながら高速回転を始める。
ボンッ!
爆発したような加速力がヴェルクの漆黒の巨体を押し出した。
セナ
「きゃ!?」
慣性に逆らえず、セナの身体はアレクセイの膝の間にすっぽりと収まっていく。
アレクセイ
「!、、、、、、邪魔」
セナ
「るっさい!!!こういうのは一言あるんじゃないの!」
至近距離で怒鳴り散らすセナに、アレクセイは顔をしかめた。
アレクセイ
「じゃあなんて言えばいい」
セナ
「、、、、、、、、、行くよ、、、とか」
アレクセイ
「、、、、、、、、、、、、、、、、、、、反応に困る」
ウウウウウウウウウウウン!!!!!!!!
会話を断ち切るようにエンジンの咆哮がさらに強まり、ヴェルクは闇を切り裂いて急降下していった。
―
オンバス
「おぉ!すっげぇなありゃ!」
森の斜面から、夜空に尾を引く漆黒の影をオンバスが見上げた。
ラジェシュ
「マジか、、、、リグマシーナギアってあんな出るんだったか?」
シェルフ
「さぁ、、、、目測加速度、、初速200km出てるな、、」
キャサリー
「ねぇ、、、アレクセイ大丈夫なの?」
不安に駆られたキャサリーの問いに、ユーリはただ無言で漆黒の軌跡を見つめ続けている。
ユーリ
「、、、知らない、、、、、、、」
オンバス
「街の方に降りるぞ!」
ラジェシュ
「船に戻らないんですか!?」
オンバス
「船の位置はあそこから下降出来ん!ヘリが必要だ!病院に備え付けられているヘリを奪う!」
キャサリー
「なんで降りてくれないんですか!」
オンバス
「あの船はオンボロでなぁ!ビームバリアを切るにはエンジン一回きんなきゃいけねぇんだ!ぬはははははっはっははっっは!!!!」
豪快に笑い飛ばすオンバスの後ろ姿に、一同は言葉を失った。
ラジェシュ
「、、、、、、あ、、言ってたわ、、、」
シェルフ
「まだ治って無かったんすね」
キャサリー
「この人達、、ほんと大丈夫かしら、、、」
巨大な遺物、超加速する漆黒の機体、そして致命的な欠陥を抱えた母船。
キャサリーは絶望的な状況の中で、もう一度深くため息をついた。
