61話:重さは破壊力

ラジェシュ

「ふぅん、、じゃあバイクはオンバスと子供達に渡して行くか」

バイクのステップから足を下ろし、ラジェシュが淡々と告げた。その提案に、オンバスが太い眉を跳ねさせる。

オンバス

「お?、、良いのか?、、、どうする気だ?」

ラジェシュ

「ケナロスは俺と歩きでこの森を下る、、良いな?」

ケナロス

「おぉ、良いけど運転出来んのか?」

ラジェシュ

「まぁ大丈夫だろ」

楽観的なやり取りが交わされた、その直後だった。

ドォオオオオオン!!!!!!!

鼓膜を直接揺さぶるような重低音が、屋敷の方角から爆ぜた。

爆発音とは違う、巨大な質量が大地を圧し潰すような地響き。アレクセイは反射的に屋敷のシルエットを凝視した。

アレクセイ

「、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、なに、、、あれ、、、」

キャサリー

「もしかして、、、、あれ、、あれなあれじゃない?」

ユーリ

「語彙力無くなって何言ってるかわからないんだけど!!??」

土煙を切り裂いて現れたのは、もはやリグマシーナギアという概念を逸脱した、鋼鉄の異形だった。

オンバス

「おぉ、、ありゃ、、、、珍しい骨董品を、、、、」

ケナロス

「リンゴン戦争時の遺物か?」

シェルフ

「月都市が戦地になった記憶は無いぞ?、、、、どういう事だ?」

ラジェシュ

「いやぁ、、、やっぱこれヤバいな、ヤバいな、、、」

ラジェシュの頬を、一筋の冷や汗が伝う。

セナ

「、、、、、、、、、アレは、、、、、」

アレクセイ

「知ってんの?」

セナ

「えぇとひいおじいちゃんのおじいちゃんだから何だっけ、、高祖父のえぇと」

キャサリー

「今そういうの良いからアレなんなの!?」

セナ

「リグマシーナギアの原型?、、初期型、、、的な?、、、なんか後付けで動く様にしたからあそこまで大きくなったってひいおじいちゃんが話してた様な、、、えぇと、、」

オンバス

「武装は!!」

セナ

「特に無いはず、地球や火星の重力じゃなくて月の重力で計算したせいで動かないって愚痴ってたし、武装なんかつけたら月でも動かないもの!」

ドンッ、ドンッ、ガラッ………………

一歩踏み出すごとに地面が悲鳴を上げ、周囲の構造物が瓦礫と化していく。

その動く要塞に、オンバスが不敵な笑みを漏らした。

オンバス

「、、、、、、ふぅむ、、あれだな、、、あの重さで潰しにくる感じか!」

ラジェシュ

「ピカーンじゃないよ!」

ピピッ

マチル

「目測!!」

マチルの鋭い声が通信機から飛び出す。ラジェシュは瞬時に網膜ディスプレイで敵の巨体をスキャンした。

ラジェシュ

「目測80m!重さ推定700t!!不味いっす!!」

マチル

「チッ、、、集合は森!デニス隊!合流地点を変更とする、目眼にて私たちの元に来い!」

ピピッ

デニス

「了解です!」

絶望的な質量の前では、陽動も潜入も無意味だった。

マチルの迅速な指示が飛び交う中、セナが小さく唇を噛む。

セナ

「チッ、、、、せっかくここまで来たのにこれかよ、、、ぁ、、、ちょ、、、っ、、、」

アレクセイは無造作にセナを下ろすと、オンバスの腕にある通信器具に近づく。

アレクセイ

「マチルさん、、、、俺の乗ってた機体降ろせませんか?」

マチル

「、、、、、、、、、やる気?、、、ここでの騒動であんたが出たらますます大変だよ」

アレクセイの瞳は先を見据える。

アレクセイ

「、、、、、、どうせ死ぬなら俺はやれるだけやって死にたいので」

セナ

「、、、、、アレクセイ、、、、」

セナの呟きが、静寂の中に溶ける。数秒の沈黙の後、通信の向こう側でマチルが口角を上げた気配がした。

マチル

「!、、、、、、、、ふぅん、、、、、、、、良いよ、、、やってみな!」

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