ピピッ
オンバスの耳元で、通信開始の電子音が跳ねた。
彼は立ち止まることなく、背後の気配を隠そうともしない一団を親指で示しながら、マイクに向かって声を投げた。
オンバス
「任務を完了した、あと子供達が外に出ていたぞ!」
ピピッ
即座に応答が返る。通信の向こう側、ラジェシュの声には隠しきれない動揺が混じっていた。
ラジェシュ
「はぁ!?何処いたの!」
オンバス
「後ろにずっとついてきてたぞ!カルガモの親になった気分だったぜ」
オンバスは豪快に笑い、自分を追って必死に駆けてきたアレクセイたちを振り返った。
その余裕綽々な態度に、今度は艦長からの怒声が割り込む。
ピピッ
マチル
「それ早く言ってくれない!?、、戻せよ!作戦前に!そんくらいの時間あったろ?」
オンバスが応える前に、ホログラム通信のスイッチを指先で弾くように切り、無造作に頭を掻いた。
オンバス
「ふぅむ、、、めんどくせぇな、、、」
ユーリ
「あの、、、隠し金庫の位置自体はオンバスさん知りませんでしたよね?、、、それで」
ユーリが息を切らしながらも、作戦の危うさを指摘する。
だがオンバスは、その大きな手をユーリの肩に置こうとして空振りさせ、不敵に笑った。
オンバス
「ふむ、そうだな、、、解決したんだ!、、、万事よし!」
アレクセイ
「、、、、どのくらいしたら着きます?」
アレクセイは腕の中のセナの重みを調整しながら、撤退までの時間を計算しようとする。
オンバス
「ラジェシュ!時間は!」
ピピッ
ラジェシュ
「何勝手に切ってんの!もう1分くらいで着きますよ!」
通信の文句と重なるように、遠くから高周波の駆動音が近づいてきた。
それは瞬く間に爆音へと変わり、廊下の突き当たりから眩いライトの光が溢れ出す。
ウゥウウウン!!!
キャサリー
「バイク!?」
ケナロス
「お!居たぞ!!」
ギィィン!!
激しいスキール音と共に、数台の電磁バイクが滑り込むようにして一行の目の前で停止した。
舞い上がる土煙の中から、バイクを降りたラジェシュが歩み寄る。
ラジェシュ
「ん?、、、、人数が増えてるな、、子供の保護、、ふうむ、、、定員オーバーだな」
ラジェシュは顎に手を当て、増えた荷物であるセナを眺めた。
正確には、彼女を軽々とお姫様抱っこしたまま、立ち尽くすアレクセイを。
アレクセイ
「俺は走っていけるんで大丈夫ですよ」
ラジェシュ
「ふむ、、、ロマンスの気配がするぞ!!」
アレクセイの腕の中で、顔を真っ赤にして固まっているセナ。
その様子をニヤニヤと眺めるラジェシュの軽薄な一言。
ユーリ
「この人達、、、、なんなの、、、、、なんかこう、、ずっと軽い、、、、」
