58話:力に貴賤はなく、全ては相対でしかない。

セナ

「、、、、、、アイツ、、、、」

床に膝をついたまま、セナは信じられないものを見るかのように、目の前の背中を見つめた。

そこに立つアレクセイの肩は、激しい怒りに小刻みに震えている。

アレクセイ

「お前は何故そう言える!何故そう宣える!」

ハジコ

「な、、なんだお前は、」

ハジコは、一瞬にして自分の私兵を屠り去った存在に、じりじりと後退りした。

アレクセイ

「こっちが聞いているんだ!何故セナをそう蔑める!」

ハジコ

「セナ?、、、アザミ、、あぁ、、、」

ハジコは、余裕を取り戻すように薄笑いを浮かべた。背中に腕を回し、木の壁に背を預ける。

ハジコ

「この世界では力がものを言うからだ、、」

アレクセイ

「む?」

ハジコ

「アザミに何がある?権力?腕力?技術?知識?知性?、、ありはしないだろう、、あるのは女としての美貌と機能だろう?」

その言葉は、まるで商品カタログを読み上げる。

アレクセイ

「だから?」

ハジコ

「私には権力がある、頭脳がある、守ってあげてるんだよ」

ハジコの理屈に、背後からセナの絶叫が重なる。

セナ

「それは違う!!コイツは女を売る事しか脳にない!守ってあげてる?誰が頼んだ!誰がやってくれと!善意なんて私は」

ハジコ

「うるさいよ!!じゃあここで死んでいけ!いくら腕力が強かろうと銃には勝てないだから未開拓の民は死ぬ!」

ハジコの指が、懐の銃の引き金にかかった。

だが、その銃声が轟くよりも早く、背後の壁が爆発した。

物理的な破壊音と共に、豪奢な壁面を突き破って、巨大な、丸太のような腕が突き出される。

アレクセイ

「!?」

ユーリ

「壁から、、、、腕?、、、」

キャサリー

「そんな機能あったの?」

セナ

「、、、、、、、知らない、、、」

三人が言葉を失う中、壁の向こう側から

オンバス

「ふん!!!」

壁を紙細工のように引きちぎり、オンバスが姿を現す。

彼はハジコの襟首を掴み、その身体を壁ごと床へ引き摺り倒した。

オンバス

「くくっ、、未開拓の民が居なくなった世界でその銃は一体なんのアドバンテージがあるんだろうなぁ!おい!!!!!!!!!!」

室内の空気が震えるほどの咆哮。鼓膜を直接揺さぶる音圧に、その場にいた全員が思わず耳を押さえてうずくまった。

セナ

「、、、、、、、ぐえ、、、耳が、、、、」

アレクセイ

「、、、、?、、、これ不味くね?、、耳痛い、、」

ユーリ

「追ってきたのバレちゃった!?、、、、、もう攻城兵器だよこの声、、、」

あまりの声量に、物理的な苦痛が襲う。

キャサリー

「いやでもでもメモリはこっちの手元にあるから大丈夫!、、、、、なんだけどうるさい、、」

キャサリーは必死に外部チップを握りしめながら、音の衝撃波に耐えていた。

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