ドォオオオオン!!
鼓膜を破らんばかりの衝撃が走り、爆発的なエネルギーがトラックを翻弄する。
視界は一瞬で巻き上がった砂煙に覆われ、アレクセイたちは無慈悲な重力に従って地面へと叩きつけられた。
アレクセイ
「ぐっ、、ぁ、、かっ、、はぁ、、はぁ、、、、、」
肺から空気が絞り出され、喉の奥に鉄の味が広がる。
アレクセイは荒い呼吸を繰り返しながら、痛む身体を無理やり動かした。
隣では、潰れたダッシュボードの隙間でセロニカが弱々しく声を漏らしている。
セロニカ
「ぅぅうう、、、え、、エアバッグが作動したおかげで、、、せーーーーーふ、、、、いたい、、、けど、、、」
脂汗を流しながらも生存を確認する彼女の横で、ユーリもまた、歪んだ車体から這い出そうともがいていた。
ユーリ
「っ、、、、、はぁ、、こっから、、どうすんの、、、これ、、、」
絶望的な問いかけが響くが、アレクセイの意識はすでに次の一手へと向かっていた。
彼はふたりが衝撃で倒れ込んでいるのを横目に、ひしゃげたトラックの扉を渾身の力で蹴り飛ばす。
嫌な金属音を立てて外れた扉の外へ、彼はふらつく足取りで歩み出た。
アレクセイが宇宙を見上げる。
そこには、自分たちをネズミのように追い回し、弄んでいたテロリストのリグマシーナギアが滞空していた。
スラスターを傲慢に噴かし、高みから地上の惨状を見下ろす赤いモノアイ。
アレクセイ
(、、、、、さっきの駐車場まで戻ってきたのか、、、どうする?、、どうしたら、、)
脳が解決策を求めて加速する。
その視界の隅、衝撃でトラックの荷台から投げ出された物が目に留まった。
ラッシングベルトが割れ、中から剥き出しになった巨大な鋼鉄の四肢。
アレクセイはそれに惹かれる様に近づいていく。
アレクセイ
「リグマシーナギアだ、、でも、、この装甲、色合い、、、畑にあるやつでも、、軍にあるやつでもない、、、」
異様なまでの威圧感を放つ漆黒の機体。
アレクセイは導かれるようにその脚部を登り、リグマシーナギアに触れコックピットを開く。
アレクセイ
「!、、、、開いた、、、(やつは?、、なぜずっと空に?、、降りてこない?、、なんで?)」
不可解な敵の静止。
アレクセイは上を警戒しながら乗り込み、その狭く、それでいて機能美に溢れたコックピットに身を沈める。
レバーとスイッチの感触を確かめ、システムを起動させる。
アレクセイ
「(俺がやってる事をみえてない?、、、AI、、いや、、遠隔捜査なのか、、、さっきの動き、、)」
敵の動きの違和感を瞬時に分析し、彼は次々とコンソールのスイッチを叩いた。
眠っていた巨人が、微かな駆動音を立てて目覚め始める。
ウゥン!
突如、コンソールの中心部から無機質な青い光が溢れ出した。
アレクセイ
「生体認証プログラム?、、、なんでそんなものが、、っ、、、なんかのバグで動いてくれよ」
焦燥に駆られ、アレクセイが機器の中央にある認証装置に手を置く。
その瞬間、極細の痛みを感じない針がアレクセイの掌に突き刺さった。
彼の遺伝情報を直接読み取るかのように、血を取り込み、認証のパーセンテージが爆速で上昇していく。
アレクセイ
「!、、、、、これは、、なんだ、、初期設定プロトコルか、、びっくりした、、、、、これなら動く、、、」
カチリ、と全てのロックが外れる音がした。
アレクセイは、メインモニターの隅に、императорという文字が静かに、しかし鮮烈に表示されたことに気づかずに。
グゥウウン!
アレクセイの乗るリグマシーナギアが真の起動を果たし、双眸に鋭い光が灯る。
大気が震え、周囲の砂埃が円を描いて吹き飛んだ。
ユーリ
「?、、、アレクセイ?」
ようやっと痛みが引き、トラックの残骸から這い出てきたユーリとセロニカは、アレクセイの突拍子もない行動に気圧される。
その圧倒的な機体の輝きと、コックピットに鎮座する友人の姿に、息を呑むことしかできない。
アレクセイ
「(、、、帰る、、帰る、、ユーリとセロニカを連れて帰る、、あとは、、あとはどうにでもなるはず!)」
