3話:バスの中

空港くうこうからのバスは、緩ゆるやかなエンジン音おんを響ひびかせながら目的地もくてきちへと進すすんでいく。

窓まどの外そとには広大こうだいな風景ふうけいが流ながれていくが、それを見みつめるアレクセイの横顔よこがおには、新生活しんせいかつへの期待きたいなど微塵みじんも感かんじられない 。

アレクセイ

「、、、、、、、田園風景でんえんふうけいばっかだな、、、」

視界しかいを埋うめ尽つくす緑みどりに、彼かれは退屈たいくつさを隠かくそうともせずに呟つぶやいた。

ユーニャ

「あっちは海うみだよ、綺麗きれいじゃないか」

隣となりでユーリが明あかるい声こえを出し、窓まどの外そとを指ゆびさす。

アレクセイ

「そんなの俺おれたちの街まちからでも見みれた」

その言葉ことばは、どこまでも冷ひややかだ。

アレクセイにとって、見慣みなれぬ土地とちの美うつくしさは、故郷こきょうからの距離きょりを再認識さいにんしきさせる。

ユーニャ

「ほら、あっちにはタワーがあるじゃん、僕ぼくたちの街まちにはなかったろ?」

アレクセイ

「、、、、、、、、、、、、、、知しらないよ、、、、帰かえりたいよ俺おれは、、、」

親友しんゆうの懸命けんめいな気遣きづかいも、アレクセイの頑かたくなな拒絶きょぜつに撥はね返かえされる。

座席ざせきに深ふかく沈しずみ込こみ、彼かれは不機嫌ふきげんそうに視線しせんを落おとした。

ユーニャ

「ホームシックじゃないかただの」

アレクセイ

 「ホームシックの何なにが悪わるいんだよ、、、俺おれは来きたいなんて言いってない!、、、ユーニャ!お前まえが寂さびしいって言いうから来きただけだ! 」

突然とつぜん、アレクセイが声こえを荒あらげる。

ユーニャ

「、、、、、、、ぅ、、、それは、、、ごめん、だけどさ、、、学園がくえんに来くるのは義務ぎむだろ?、、断ことわるにはそれ相応そうおうの理由りゆうがないと 、、それにおばさんにはどう説明せつめいするつもり? 」

図星ずぼしを突つかれたのか、ユーリは一瞬言葉いっしゅんことばを詰つまらせたが、すぐに現実的げんじつてきな正論せいろんでアレクセイを宥なだめめようとする。

アレクセイ

 「、っ、、、、、、母かあさんは、、、、知しらないよ、、、、、黙だまっててよ 」

ユーニャ

「わかったよ、、、、」

アレクセイは苦にがい顔かおをして押おし黙だまる。

ユーリはそれ以上いじょうの追及ついきゅうをせず、短みじかく答こたえて視線しせんを窓まどの外そとへと戻もどした。    

やがてバスは、ビルやタワーが立たち並ならぶ賑にぎやかな喧騒けんそうのある街まちへと入はいっていく。  

車窓しゃそうから見みえる巨大きょだいなタワーの広告こうこくには、鮮あざやかな色彩しきさいと共ともにスローガンが流ながれていた。

  『元気げんきで豊ゆたかな街まち』 『学生達がくせいたちの街まち・アカデムグロード 』  

それは、繁栄はんえいを象徴しょうちょうするような、輝かがやかしい光ひかりの群むれだった。

だが、アレクセイはそれを疎うとまましげに一瞥いちべつしただけで、再ふたたび心こころの中なかで毒どくづく。  

アレクセイ

 (、、、、、、、、、、、、、、、何なにが学まなびだよ、、、家いえに帰かえりたい、、、、本気ほんきで、、はぁ、、、もう、、、最悪さいあく、、、)    

華はなやかな歓迎かんげいムードに包つつまれながら、アレクセイはただ、自分じぶんの平穏へいおんを奪うばったこの場所ばしょに強つよい拒絶感きょぜつかんを抱だき続つづけていた 。

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