空港からのバスは、緩やかなエンジン音を響かせながら目的地へと進んでいく。
窓の外には広大な風景が流れていくが、それを見つめるアレクセイの横顔には、新生活への期待など微塵も感じられない 。
アレクセイ
「、、、、、、、田園風景ばっかだな、、、」
視界を埋め尽くす緑に、彼は退屈さを隠そうともせずに呟いた。
ユーニャ
「あっちは海だよ、綺麗じゃないか」
隣でユーリが明るい声を出し、窓の外を指さす。
アレクセイ
「そんなの俺たちの街からでも見れた」
その言葉は、どこまでも冷ややかだ。
アレクセイにとって、見慣れぬ土地の美しさは、故郷からの距離を再認識させる。
ユーニャ
「ほら、あっちにはタワーがあるじゃん、僕たちの街にはなかったろ?」
アレクセイ
「、、、、、、、、、、、、、、知らないよ、、、、帰りたいよ俺は、、、」
親友の懸命な気遣いも、アレクセイの頑なな拒絶に撥ね返される。
座席に深く沈み込み、彼は不機嫌そうに視線を落とした。
ユーニャ
「ホームシックじゃないかただの」
アレクセイ
「ホームシックの何が悪いんだよ、、、俺は来たいなんて言ってない!、、、ユーニャ!お前が寂しいって言うから来ただけだ! 」
突然、アレクセイが声を荒らげる。
ユーニャ
「、、、、、、、ぅ、、、それは、、、ごめん、だけどさ、、、学園に来るのは義務だろ?、、断るにはそれ相応の理由がないと 、、それにおばさんにはどう説明するつもり? 」
図星を突かれたのか、ユーリは一瞬言葉を詰まらせたが、すぐに現実的な正論でアレクセイを宥めようとする。
アレクセイ
「、っ、、、、、、母さんは、、、、知らないよ、、、、、黙っててよ 」
ユーニャ
「わかったよ、、、、」
アレクセイは苦い顔をして押し黙る。
ユーリはそれ以上の追及をせず、短く答えて視線を窓の外へと戻した。
やがてバスは、ビルやタワーが立ち並ぶ賑やかな喧騒のある街へと入っていく。
車窓から見える巨大なタワーの広告には、鮮やかな色彩と共にスローガンが流れていた。
『元気で豊かな街』 『学生達の街・アカデムグロード 』
それは、繁栄を象徴するような、輝かしい光の群れだった。
だが、アレクセイはそれを疎ましげに一瞥しただけで、再び心の中で毒づく。
アレクセイ
(、、、、、、、、、、、、、、、何が学びだよ、、、家に帰りたい、、、、本気で、、はぁ、、、もう、、、最悪、、、)
華やかな歓迎ムードに包まれながら、アレクセイはただ、自分の平穏を奪ったこの場所に強い拒絶感を抱き続けていた 。
