バスを降りた二人の前には、アカデムグロードの喧騒が広がっていた。
慣れない熱気に少しだけ顔をしかめたアレクセイを気遣うように、ユーニャが小走りで戻ってくる。
ユーニャ
「アレクス、ほら、ジュース買ってきたから飲みなよ」
ユーリはキッチンカーからジュースを買ってきて持ってくる。
アレクセイに手渡されたのは、たっぷりの生クリームが乗り、幼い子供が喜ぶような色とりどりのアラザンが散りばめられたフラペチーノだった。
アレクセイ
「ん、、ありがと、、、、こっからは歩きか、、、」
ストローを咥え、甘い冷たさに眉を綻ばせながらアレクセイはそれを受け取った。
重い荷物を引きずりながら、見知らぬ街の石畳を踏み締める。
ユーリ
「なんか街並みすごいね、、こんなビルとか僕らの街に無かったよね」
空を突くような高層ビルの群れを見上げ、純粋に感嘆の声を漏らすユーリ。
だが、アレクセイの視線は冷めている。
アレクセイ
「金がないだけだろ村長に、税金は全部国が吸い取るんだから」
しかし、ユーリの興奮は収まらない。
ユーニャ
「でもさでもさ!ワクワクするだろ?アレクスは何する?ゲーム機のアリウス出してる会社がVRとかやってるんだよ?やりたくないの?」
アレクセイ
「どうせ反応が遅いからいい、、、、、、、ぁ、、、」
呟き終わるより早く、アレクセイの身体が動いた。
人混みの中から、青い髪色をしたフードを深く被ったマスク姿の男が、ユーニャを狙って距離を詰めてくる。
わざとぶつかるふりをして懐を狙おうとした男の意図に。
無造作に踏み出された足が、男の脛を思い切り蹴り飛ばし、転ばせる。
アレクセイ
「、、、、、、本当に居た、、、、」
呆然とするユーニャの横で、蹴られた男は声を上げることもなく、アレクセイを一度も一瞥することさえせずに、足早に雑踏の中へと消えていった。
ユーニャ
「、、、うぅむ、、、まさか、、スリって本当に居るんだね、、、、」
アレクセイ
「はぁ、、ユーニャ、、お前がキョロキョロ田舎者っぽくするから狙われるんだ、、やれやれ、バカめ」
ユーニャ
「バカって言うなよ!そっちこそあのおっさんがぶつかってくる前に注意しろよ」
アレクセイ
「は!気づかない方が悪いよバーカ」
ユーニャ
「なんでそんな事言うのさ!この!仕方ないだろ!僕らの街にあんなスリする馬鹿居なかったんだから!!」
悪態をつきながら、ユーニャはアレクセイを小突く。
ユーニャは顔を真っ赤にしながら言い返すが、その声には険悪さはない。
周囲の人目を気にせずに、二人はまるで放課後の空き地で遊ぶ子供のように、戯れ合う様に笑い合う。
