ユーリ
「冥王星産まれがなんなんです?」
ユーリは立ち上がり、マチルの横顔を覗き込んだ。
マチル
「あー、、まぁ、、、特に理由はないぞ」
マチルは視線を泳がせ、ポケットを探って煙草の箱を指先で叩いた。
リブラ
「ひぇぇ、、、ば、、バレてしまった、、、まずい、、まずいのだ、、、、」
リブラは左右に視線を走らせ、自分の肩を抱いて小刻みに震えた。
ユーリ
「なんかびっくりし過ぎてよく分からん状態になってますけど、、」
ユーリは呆れたように肩を落とし、リブラを指差した。
マチル
「冥王星って太陽から遠いだろ?」
マチルは空を指差し、ユーリの方を向いた。
ユーリ
「そうですね」
マチル
「だから色素沈着が限りなく薄くて、珍しい髪色をする奴が多いんだよ」
マチルはリブラのピンクの髪を無造作に指で示した。
ユーリ
「へぇ、、、それで?」
マチル
「いやそれだけ」
マチルは手を下ろし、吐き出すように言った。
ユーリ
「じゃあなんでこんなビビってるんです?おかしくないですか?」
ユーリはリブラの顔の前に手をかざし、その怯え方を確認した。
マチル
「いやなんか冥王星に居る奴らは心が読めるとか物を浮かせるとかの都市伝説が数十年前に流行っただけ、、、なんだけどさ」
マチルが淡々と語り終える前に、リブラが飛び上がった。
リブラ
「ぬぉぉ!??何故それを!?? 」
ユーリ
「なんなのこの子、、、、」
ユーリは一歩後ずさり、リブラを凝視した。
マチル
「まぁ結局そんな特異な能力は無かったで話は終わった感じ」
マチルは興味なさげに壁を蹴った。
リブラ
「、、、、、、、、、、へっ、、、」
リブラは口を半開きにし、マチルの顔をじっと見つめた。
ユーリ
「、、、、、、この子はこう、、、、なんだろう、、、、何故そこで小馬鹿にした笑みを浮かべるの、、、」
ユーリは眉間に皺を寄せ、リブラの口角の動きを追った。
リブラ
「冥王星人は特殊な力があるのです!だから機関から逃げなければならないのです!そうお母様が言ってたので!!」
リブラは胸を張り、マチルを指差して声を張り上げた。
マチル
「、、、、、人狩りねぇ、、、結局、、、、強盗殺人の言い訳だったってオチだったけどな」
マチルは冷めた目でリブラを見下ろした。
リブラ
「ぬ、、、、ち、、違うのです!」
リブラは必死に首を振った。
マチル
「冥王星、海王星、天王星、土星、、、太陽の外へ行けば行くほど、希少金属が手に入るフロンティアだ、、、外惑星帰りはそれだけでお金持ちだからな」
マチルは腕を組み、路地の奥へと視線を移した。
リブラ
「む、、本当に私たちは特殊な力が」
リブラは自分の手を見つめ、指先を動かした。
マチル
「無いよ、歴史を持たない新興の金持ちが箔付けのためによく行う噂の流布だ」
マチルは断定し、背を向けた。
ユーリ
「な、、泣きそうですよ、、、」
ユーリが指摘すると、リブラの目から大粒の涙が溢れ出した。
マチル
「はぁ、、、なんなんだこの子は、、、、」
マチルはため息をつき、頭を掻いた。
リブラ
「ぅぅ、、本当に本当に特殊な力があってお兄ちゃんが連れてかれちゃったもん!!ぅぅえええええん!!!!」
リブラは顔を覆い、路地裏に響き渡る声で泣きじゃくった。その場にへたり込み、地面を叩きながら泣き声を上げ続けた。
