巨大な機体が、自らの重みに耐えかねた断末魔のような軋み声を上げ、ゆっくりと大地に沈んでいく。
マチル
「ほぉ、、、マジでやりやがった、、、15分、、、小隊で対処する規模だぞありゃ」
モニター越しにその光景を見守っていたマチルが、驚嘆を込めて独り言ちた。
冷徹な戦術家である彼女の計算を、一人の少年の執念が上回った瞬間だった。
ー
オンバス
「おぉ!!さっきからうるせぇと思ったがやりやがったか!!」
瓦礫の山を乗り越えながら、オンバスが快哉を叫ぶ。
ラジェシュ
「ふぅむ、、、これまたすごい機体だ、、、、、あれ抱え込むんすか?、、マチルさん」
ラジェシュは爆煙の向こう側に佇む漆黒の機体を眺め、今後の厄介ごとに思いを馳せて肩をすくめた。
ユーリ
「、、、、、、、、アレクセイ、、、、」
親友の名を呼ぶユーリの声は震えていた。
キャサリー
「これで終わり、、終わりなのかな?」
キャサリーは砕け散った街の窓ガラスが太陽を反射して煌めく様子を、祈るような目で見つめていた。
その視線の先で、アレクセイの乗るヴェルクが、轟々と燃える炎の中からゆっくりと立ち上がる。
ー
アレクセイ
「な、、んで、、生きてんの?」
極限状態から解放されたアレクセイの第一声は、呆然とした自問だった。
セナ
「多分、、、、下の機体がクッションになったから?」
セナが膝の間で、まだ速い鼓動を刻みながら答えた。
アレクセイ
「そうか、、、良かった、、、、、」
安堵の溜息が漏れた瞬間、コクピットに通信が割り込む。
ピピッ
マチル
「アレクセイ!よくやった!戻ってこい!!」
アレクセイ
「、、、、、、、はい、、、、わかりました」
上空からマチルたちの船が静かに降下を開始する。
オンバスたち地上部隊と合流し、流れるような手際で回収作業が進んでいった。
街の被害は甚大に見えたが、その実は衝撃波による窓ガラスの破損に留まっていた。
この規模の激突において、死亡者を出さずに事態を収束させたのは、まさに奇跡的な大金星と言えた。
だが、勝利の余韻に浸る時間は与えられなかった。
ゥーゥーゥーウーウーウー!!!
夜の静寂を切り裂き、不気味なサイレンが街の至る所で共鳴し始める。
マチル
「こりゃ軍警だな、、お早い事で、、、誰だ?」
マチルの不審げな呟きに応じるように、街の中央広場に巨大なホログラムが展開された。
青白い光が夜空を焼き、一人の冷徹な軍人の姿を映し出す。
カナリア
「私は軍事警察特殊捜査班所属カナリア・エロクサム大佐、、、今回の事件を調べる為、全員避難、救助活動を終えた後その場で留まり聴取を受けてもらう!」
「グラスプアイは既に私の権限において作動している!」
「逃げようものならD級犯罪人として指名手配となる!!カナリア・エロクサムの名において逃走を禁止する!」
その威圧的な声は、逃れられぬ法の鎖となって、疲弊した彼らの上に降り注いだ。
マチル
「カナリアか!やっぱな!当たり引いたぜ!」
