70話:警察はいつも遅い

巨大な機体が、自らの重みに耐えかねた断末魔のような軋み声を上げ、ゆっくりと大地に沈んでいく。

マチル

「ほぉ、、、マジでやりやがった、、、15分、、、小隊で対処する規模だぞありゃ」

モニター越しにその光景を見守っていたマチルが、驚嘆を込めて独り言ちた。

冷徹な戦術家である彼女の計算を、一人の少年の執念が上回った瞬間だった。

ー

オンバス

「おぉ!!さっきからうるせぇと思ったがやりやがったか!!」

瓦礫の山を乗り越えながら、オンバスが快哉を叫ぶ。

ラジェシュ

「ふぅむ、、、これまたすごい機体だ、、、、、あれ抱え込むんすか?、、マチルさん」

ラジェシュは爆煙の向こう側に佇む漆黒の機体を眺め、今後の厄介ごとに思いを馳せて肩をすくめた。

ユーリ

「、、、、、、、、アレクセイ、、、、」

親友の名を呼ぶユーリの声は震えていた。

キャサリー

「これで終わり、、終わりなのかな?」

キャサリーは砕け散った街の窓ガラスが太陽を反射して煌めく様子を、祈るような目で見つめていた。

その視線の先で、アレクセイの乗るヴェルクが、轟々と燃える炎の中からゆっくりと立ち上がる。

ー

アレクセイ

「な、、んで、、生きてんの?」

極限状態から解放されたアレクセイの第一声は、呆然とした自問だった。

セナ

「多分、、、、下の機体がクッションになったから?」

セナが膝の間で、まだ速い鼓動を刻みながら答えた。

アレクセイ

「そうか、、、良かった、、、、、」

安堵の溜息が漏れた瞬間、コクピットに通信が割り込む。

ピピッ

マチル

「アレクセイ!よくやった!戻ってこい!!」

アレクセイ

「、、、、、、、はい、、、、わかりました」

上空からマチルたちの船が静かに降下を開始する。

オンバスたち地上部隊と合流し、流れるような手際で回収作業が進んでいった。

街の被害は甚大に見えたが、その実は衝撃波による窓ガラスの破損に留まっていた。

この規模の激突において、死亡者を出さずに事態を収束させたのは、まさに奇跡的な大金星と言えた。

だが、勝利の余韻に浸る時間は与えられなかった。

ゥーゥーゥーウーウーウー!!!

夜の静寂を切り裂き、不気味なサイレンが街の至る所で共鳴し始める。

マチル

「こりゃ軍警だな、、お早い事で、、、誰だ?」

マチルの不審げな呟きに応じるように、街の中央広場に巨大なホログラムが展開された。

青白い光が夜空を焼き、一人の冷徹な軍人の姿を映し出す。

カナリア

「私は軍事警察特殊捜査班所属カナリア・エロクサム大佐、、、今回の事件を調べる為、全員避難、救助活動を終えた後その場で留まり聴取を受けてもらう!」

「グラスプアイは既に私の権限において作動している!」

「逃げようものならD級犯罪人として指名手配となる!!カナリア・エロクサムの名において逃走を禁止する!」

その威圧的な声は、逃れられぬ法の鎖となって、疲弊した彼らの上に降り注いだ。

マチル

「カナリアか!やっぱな!当たり引いたぜ!」

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