船内の一角、三人に割り当てられた狭い個室の中で、キャサリーは落ちつかない様子で足を組み替えた。
キャサリー
「、、、、、、、ねぇ、、やっぱ私達で行かない?」
アレクセイ
「何が?」
アレクセイは壁に背を預け、視線を動かさずに問い返した。
その傍らで、ユーリは机に機材を広げ、指先を細かく動かして準備を進めている。
キャサリー
「だってさ、正直マチル達は良い人だけど実際信じられないわ、、ハジコが人身売買してるなんて、、、ぅ、、でも本当なのかなって」
アレクセイ
「変わったキッカケでもあると?」
キャサリー
「無いわ、、私が10歳の時にハジコが皇帝陛下から直々に自治権を承ったってなった瞬間から見目麗しい女性はハジコの一存で連れてかれてしまう、、だからここに居た社長や脱出出来る人達は逃げていく、、それでどんどんと経済が縮んでったのよ」
キャサリーは膝を抱え、床の一点を見つめて言葉を絞り出した。
ユーリ
「!、、、、税収からの横領が上手くいかなくなったから人身売買に手を出したのか」
ユーリが作業の手を止め、顔を上げた。
アレクセイ
「、、、、、、、、何でハジコは領主になれたのさ、、おかしいだろ」
アレクセイが眉間にしわを寄せ、ユーリとキャサリーを交互に見た。
キャサリー
「、、、、、、、、ハジコの家系は地主なのよここら辺のね、、」
アレクセイ
「、、、、、、、、、、、、、、、、、、む、、、、」
アレクセイはそれ以上言葉を続けず、重苦しい沈黙が部屋を支配した。
その静寂を、ユーリが機材をカバンに詰め込む金属音が切り裂いた。
ユーリ
「よし、、、出来た、、、」
アレクセイ
「、、、、本気かよ」
ユーリの目つきを見て、アレクセイがわずかに身を引いた。
キャサリー
「本気も本気よ、、、大人なんか信用出来ないもの、、行くわよ」
キャサリーは勢いよく立ち上がり、迷いのない足取りでドアへ向かった。
アレクセイ
「、、、、、、馬鹿じゃ無いの、映画の見過ぎだろ、、、」
アレクセイの制止を背中で聞き流し、キャサリーとユーリはそのまま部屋を出ていった。
アレクセイ
「、、待ってよ、、、ちょ、、、っ、、あぁ、、もう、、、、置いてかないでよ!」
取り残されたアレクセイは、頭を掻きむしりながら慌てて二人の後を追った。
