26話:出発したのは朝だった

どのくらいの時間が過ぎ、どれほどの涙を流しただろうか。

止まっていた時計が再び動き出すように、アレクセイとユーリは静かに、しかし自然と動き出した。

二人は、セロニカの細い胸を無慈悲に貫いていた鉄骨を、震える手で、しかし力任せに引き抜く。

ユーリがセロニカを抱えたままコックピットに乗り込んでいく。

冷たくなり始めた彼女の体を離さないよう、壊れ物を扱うように。

ハッチが閉まり、アレクセイがリグマシーナギアのエンジンを再起動して噴かす。

ガィイイイイイン!!!

鼓膜を突き破らんばかりのとてつもない金属音を出しながら、漆黒の機体は地下から上にあがる。

重さ数十トンはあろうかというビルの残骸、コンクリートの塊を、その異形なまでのパワーで跳ね除け、砕き、垂直に駆け上がっていく。

瓦礫の山を突き破って飛び出した先には、空があった。

あぁ、夕暮れだ。

血のような朱色が世界を染めている。

朝にはあったセロニカの鼓動はもう聞こえない。

周囲のテロリスト達はいきなり現れた黒いリグマシーナギアに視線を向ける。

およそ20機は居ようかと思える数。

少年一人が相手にするには絶望的な絶望だが、今のアレクセイにそれを恐れる理性は残っていなかった。

アレクセイ

「なんなんだよ、、、、、なんだよ、、、、、、、、なんなんだよ!!!!」

アレクセイの叫びに呼応する様に、漆黒だった装甲は赤く赤熱する。

限界を超えて回るエンジンが、異常音とも思える高音を撒き散らす。

テロリスト達は何か光信号で合図を取るが、アレクセイはそれより早く、爆発的な加速で空間を跳んだ。

逃げようとする一機の背後を一瞬で取り、右腕で敵のヘッドを掴みそのまま地面に叩きつける。

紙細工のように、鉄の巨躯がそのままひしゃげ潰れる。

アレクセイに潰された機体を見て、残されたテロリスト達は一斉に襲いかかる。

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