76話:政権交代において必要なものは?

コンコンコンッ。

無機質な仮設司令部の扉が、規則正しく叩かれた。カナリアは吸いかけの煙草を灰皿に押し付け、鋭い視線を入り口へ向ける。

カナリア

「誰だ?」

レジット

「レジット・ケネリティクス少佐、、入ります!」

許可を出す間もなく、レジットが足早に入室してきた。その表情には、単なる戦後処理の報告以上の、割り切れない何かが混じっている。

カナリア

「レジット?、、、、病院は、、、」

レジット

「はい、、その病院にて、、カナリア大佐に会いたいという人物が居まして」

カナリア

「、、、私に?、、、ここの領主か?、、私に会わせるんだろ、誰だ」

領主側が何らかの取引を望んでいるのか。カナリアの脳裏に、この都市に蔓延る利権の構造が浮かぶ。

レジット

「簡易取り調べ室に居てもらっています、、、名前はキャサリー・ライド18歳、カデナテア学園の生徒で今年卒業した生徒です」

カナリア

「ふぅん、、、学園都市の在歴は?、、私に会わせるほどなんだろうな」

レジット

「ありません、、、そしてここの人間はおそらく半数が学園都市に行っていません、、裏帳簿のメモリを渡してきました」

カナリア

「、、、、、、、横領か、、、またややこしい事を」

カナリアは舌打ちをした。差し出されたメモリには、この都市が帝国を騙し、どれほどの富を隠匿してきたかの証拠が詰まっているのか。

レジット

「おそらく。、、、、、、、まだ、、ここの首長ハジコ・ルイの行方は掴めていません」

カナリア

「、、、、、、チッ、、、、、精査もせずに自治権をばら撒くからだ」

レジット

「皇帝はどうする気でしょうね、、同級生だったんでしょう?」

空気が凍りついた。現皇帝の過去に触れるのは、軍内部では最大のタブーの一つだ。カナリアの眼光が、一段と険しさを増す。

カナリア

「知らんよ、、、、下手に首突っ込むのは辞めるんだな」

レジット

「すみません、好奇心が過ぎました」

レジットは即座に頭を下げ、話題を実務へと引き戻した。

カナリア

「構わん、逃げた船の船体写真とデータは取れたか?」

レジット

「レシーヌからの報告によると42隻が逃げていました。そのうちの35隻は既に周囲のコロニーへ周知、その場での捕獲する様にと指示を出しました。」

カナリア

「良い指示だ。私の名前を上手く使ったな」

レジット

「えぇ、、ですが、、7隻は明らかな改竄がありました、アレを解読するのに、、時間が」

カナリア

「ふむ、、発信器はまだ生きているからな、ここの事態を納めた後に向かう、現状の特殊捜査隊の任務としてはあの黒い機体を学園都市の最重要容疑として追う、、良いな」

モニターには、爆炎の中から立ち上がる残像が静止画として映し出されている。禁止された技術。正体不明のパイロット。

レジット

「了解です」

カナリアを連れたレジットがとある扉を叩く。

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