キャサリー
「ちょっと考えさせてよ」
矢継ぎ早に突きつけられた重い決断。
キャサリーは逃げ場を求めるように視線を泳がせたが、マチルの眼差しはどこまでも冷徹だった。
マチル
「10分だ、それ以上はカナリアの本隊が到着する」
キャサリー
「そーですか!」
半ば自暴自棄に叫び、キャサリーはアレクセイとユーリの手を乱暴に引っ張って、騒がしい船外へと連れ出した。
ユーリ
「どうするの?、、、キャサリー、、君の家族や友人はこの街に居るだろ?」
ユーリの気遣うような問いに、キャサリーは苛立ちを隠そうともせずに髪をかき上げる。
キャサリー
「今考えてんの!」
アレクセイ
「別にキャサリーの人生なんだから好きにすればいいじゃん」
他人事のように淡々と言い放つアレクセイに、キャサリーの怒りが爆発した。
キャサリー
「うっさい!」
ユーリ
「、、、、、ふふっ、、、、ははっ、、、、」
キャサリー
「何笑ってんのよ!私忘れてないからね!?人に優しさが無いとかなんとか言ったの!」
ユーリ
「、、、、、それは、、、、ごめん、、」
ユーリの申し訳なさそうな顔を見て、キャサリーは毒気を抜かれたように小さく息を吐いた。
キャサリー
「もう良いわよ、、、」
アレクセイ
「でも、俺とユーリはどうせここから火星に行ってほとぼり冷めるまで待つつもりだし」
キャサリー
「む、、、、そこは、、、さぁ、、、」
アレクセイ
「マチルさんに全部押し付ければ良いんじゃ無いの?、、どうせ賊ではあるんだし」
キャサリー
「むぅ!、、、そういう事じゃ無いのに!こう、、行こう!とかさ、付いてこいとか無い訳!?」
期待していたドラマチックな勧誘とは程遠い、あまりに現実的でドライな二人の反応に、キャサリーは地団駄を踏む。
アレクセイ
「ある訳ないでしょ」
ユーリ
「人に犯罪を勧めるようなもんじゃん」
キャサリー
「ぬぬぬぬぬ!???、、、、、、、、アンタら私より無鉄砲なんじゃないの!?、、っ、、何考えてんのよ!」
理解不能な少年たちの感性に、キャサリーは呆れ果てて言葉を失う。
その沈黙を切り裂くように、ユーリが静かに立ち上がった。
ユーリ
「!、、、、、はぁ、、、、、そう、、じゃあね、、、、」
短く別れを告げると、ユーリは迷いのない足取りで一人、船のハッチの中へと消えていく。
アレクセイ
「ん、、じゃあ俺も、、、」
アレクセイもまた、当たり前のようにユーリの後に続こうと背を向けた。その背中を見て、キャサリーの胸に鋭い痛みが走る。
キャサリー
「待って、、、、、アレクセイ、、、」
気づいた時には、キャサリーの手はアレクセイの無骨な手を強く掴んでいた。彼
女の指先が、微かに震えていた。
