ハジコ
「なんで!なんなんだ早く解決しろ!!」
狂乱に近い叫びが、豪華な執務室に響き渡る。
ハジコは脂汗を浮かべ、落ち着きなく室内を徘徊していた。
ハジコ兵士A
「はい、、、ですが敵は正規兵の様に強くて」
ハジコ
「くそ、、くそ、、くそくそくそくそ、、、僕が居なきゃ暮らせないくせに!」
自尊心と焦燥が混ざり合った罵倒を吐き散らし、ハジコは手近な調度品をなぎ倒した。
その時、通信機から悲鳴に近い報告が飛び込む。
ハジコ兵士B
「ほ、、報告です!何者かが屋敷に侵入を」
ハジコ
「は、、はぁ!?、、、なんで今言うんだ!遅いじゃないか!!、、今すぐ警備を固めろ!僕の所に呼べ!!」
逆上する主人の剣幕に、兵士Aは震える指先でコンソールを叩いた。
ハジコ兵士A
「は、はっ!、、、、、執務室に集まれ、、、執務室に集まれ!」
ハジコ
「なんなんだよ、なんなんだよ!!、、くそ皇帝から自治権貰ったのになんで上手くいかないんだ!!」
ガン!!
全力で叩きつけられた拳の音が、主人の底の浅い癇癪を物語っていた。
ー
一方、オンバスの背中を追って迷路のような廊下を駆けていた三人の前に、曲がり角から影が飛び出した。
ユーリ
「!、、、、、ゎ!?、、、、」
先頭のユーリと衝突し、床にへたり込んだのは、屋敷のメイド服を纏った小柄な少女だった。
彼女は顔を上げることもできず、床を掻きむしるようにして謝罪を繰り返す。
「ひ!?、、、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!殺さないで!!痛いことしないで!!」
アレクセイ
「、、、、、、、、、、、、、、!?、、、、女の子?、、、、、」
アレクセイは反射的に半歩下がり、その姿を射抜く。
キャサリー
「きゃ!?なんで私に抱きつくの!?、、、来ないでよ!」
少女は救いを求めるように、最も近くにいたキャサリーの腰にしがみついた。
なりふり構わぬその力に、キャサリーは困惑と恐怖で顔を引き攣らせる。
女の子
「ふ、、、ぅ、、ぇええ、、、、、、、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
キャサリー
「え、、ちょ、、、えぇ、、どうしたのこの子、、、」
キャサリーは突き放そうとした手を止め、縋り付いてくる少女の異様な怯えように言葉を失った。
アレクセイ
「まぁ、、目的は裏帳簿が欲しいんだから、、情報あるの?君?、、、、そもそも誰だよ」
アレクセイの声には慈悲の欠片はない。
なぜならここは見知らぬ屋敷、見知らぬ生存者。見知らぬ恐怖。
ユーリ
「アレクセイ!泣いてるんだからさ」
ユーリが咎めるように制するが、アレクセイは視線を逸らさない。
アレクセイ
「、、、、、、、、、、、、、状況わかってんの?得体の知れない人間だよコイツ」
キャサリー
「えぇと、、、貴方の名前は?」
キャサリーが震える少女の肩を抱き、顔を覗き込もうとする。
女の子
「アザミです、、、、、、、、、、あの、、ほんと、、、殺さないでください、、」
ユーリ
「オンバスさんの戦いを見たからか?」
ユーリは、先ほどオンバスが兵士たちを無慈避に制圧した光景を思い出し、その恐怖が彼女に伝播したのか。
アレクセイ
「む、、嘘ついた、、、、本当の名前は?」
アザミ?
「え、、、、いえ、、、私は、、その」
アレクセイ
「嘘ついたはず、、、、、何ついたの君、、、、」
アレクセイの追求は、刃のように鋭く少女を追い詰めていく。
キャサリー
「ちょっとそうやって詰めるのは」
キャサリーが反論しようとした瞬間、ユーリがその腕を制した。
ユーリの表情には、アレクセイへの全幅の信頼と、静かな緊張が宿っている。
ユーリ
「、、、、、、、アレクセイが言うなら、、、何かあるはず、、、」
三人の視線が、床に跪くアザミと名乗った少女へと集中した。警
報が鳴り響く廊下で、一瞬の静寂が彼らを包み込む。
