「?、、、なんなの?、、、この感覚、、、ゼンシアの共鳴?、、うそ、、ここに?、、ありえない」
とある少女はフードを深く被り、人混みを縫うように歩調を速めた。首を左右に振り、雑踏の隙間から何かの気配を追う。
ユーリ
「、、、、マチルさん、、これから僕らをどうするんです」
ユーリは背後の気配を気にしながら、隣を歩くマチルの顔を覗き込んだ。
マチル
「情報統制も始まったからコロニーをあと三つほど経由して火星に、火星で物資を補給したあと一直線で地球に帰る」
マチルは前方を凝視したまま、淡々と予定を口にした。
ユーリ
「、、、、、、手際がよすぎませんか」
マチル
「ま、、、こんな生活ももう20年もしてるからな」
マチルはポケットから端末を取り出し、時刻を確認した。
ユーリ
「、、、、、、、、、にじゅ、、、うねん、、、」
ユーリは足を止め、マチルの背中を見つめた。
マチル
「さぁな」
「ぁう!」
前方で短い叫び声が上がった。フードを被った少女が、体格のいい男の胸元に突き当たり、そのまま尻餅をつく。
「あ?どこ見てんだよ!気をつけて歩け!」
男は少女を見下ろし、声を荒らげた。
ユーリ
「ちょっと!それは無いんじゃないですか!」
ユーリが間に入り、倒れた少女を背に隠した。
「あ?前見てねぇコイツが悪りぃだろうがよ!」
ユーリ
「貴方はアイズばっか見てたでしょう」
ユーリは男の眼球、その表面で発光する情報の残像を指差した。
「それの何が悪いんだよ!」
ユーリ
「歩きながらの操作して前を見てなかったのは貴方でしょう!」
マチル
「(コイツ、、、、、はぁ、、、、、)」
マチルは額に手を当て、空を仰いだ。
「うるっせぇな!」
男は腕を振り上げ、ユーリの顔面目掛けて拳を放った。
パチッ!
ユーリは男の腕を空中で掴み取った。そのまま手首を返し、男の体を地面へと組み伏せる。
少女
「(今の!この人から出てた!)」
倒れ込んだままの少女は、ユーリの背中を凝視し、息を呑んだ。
憲兵
「こら!そこ辞めなさい!往来での暴力沙汰は犯罪だぞ!」
遠くから警笛が鳴り、制服を着た数人がこちらへ駆け寄ってくる。
マチル
「チッ、、はぁ、」
マチルは舌打ちをし、ユーリの首根っこを掴み上げた。そのまま抵抗する間も与えず、人混みの奥へと引きずっていった。
