ユーリ
「なんで検閲が無かったんです?」
ユーリはゲートを通過し、背後のセキュリティ・ブースを振り返った。マチルはポケットに手を突っ込み、人混みを縫って歩く。
マチル
「あぁ、ここは自由解放コロニーで関税を掛けてないのと、200年前に打ち上げられた初期型のコロニーだからだな」
マチルは天井を見上げた。何重にも重なる巨大な配管と、剥き出しのトラス構造が街を覆っている。
ユーリ
「、、、?、、、ふぅん、、でも買い手がそもそも居るんです?」
ユーリはマチルの歩幅に合わせ、周囲の露店を視線で追う。
マチル
「あぁ、相当技術や設備がねぇといけねぇのと、3世代以上前の機体じゃないといけないがデータチップを特殊処理すれば買ってくれるんだよ、リグマシーナギアは金属の塊として優秀だからな」
マチルは通りがかりの大型クレーンを見上げ、顎を動かした。
ユーリ
「、、、、、、、、、、、ふぅん、、、、でもそんな生活、、、」
ユーリは足元のアスファルトの亀裂を見つめた。
マチル
「そろそろ限界だと思うぜ、まぁ良い世の中になってきた証拠だな」
マチルは口角を上げ、人混みの中へと進む。
ユーリ
「、、、、、何で明るいんです」
ユーリはマチルの顔をのぞき込んだ。マチルは足を止め、ユーリの胸元に指先でカードを差し込んだ。
マチル
「さぁな、ほれ小遣いやるよ」
ユーリ
「犯罪のお金でしょ」
ユーリはカードを指でつまみ上げ、突き返そうとした。
マチル
「どうせお金は信用なんだ、意味ねぇよ」
マチルはそのまま背を向け、歩き出した。
ユーリ
「、、、、、、、、、、、、、、、、、、、む、、、そういう事じゃ」
ユーリはカードを握り込み、マチルの後ろ姿を追った。
アレクセイ
「ねぇ、、アイス食べたいんだけど、、あの屋台の」
アレクセイが、極彩色の看板を掲げた屋台の前で足を止めた。腕のデバイスを起動させ、決済画面をホログラムで投影する。アレクセイの指先が、画面の上で止まった。
ユーリ
「え、、高い!?、、、、嘘でしょ!?、、詐欺じゃないですか!」
ユーリが横から画面を覗き込み、声を上げた。屋台の主人が鼻を鳴らし、こちらを向く。
屋台のおっちゃん
「?、、、はぁ?」
セナ
「バカ!コロニーじゃ普通の値段よ!」
セナはアレクセイの腕を叩き、デバイスの画面を消させた。
マチル
「やれやれ、、アイスを三つくれ、オリジナルアイス盛りで」
マチルがデバイスをかざし、無造作に決済を済ませる。
屋台のおっちゃん
「はいよ」
主人は冷凍庫を開け、三つのカップにアイスを盛り付け始めた。
