82話:仲良くなるのに何が必要?

ピー………ピピッ。

格納庫に電子音が響き渡り、大型モニターの数値が安定した。

ラスティーヌ

「オッケーだぜ!アレクセイ!」

ラスティーヌは計器から顔を上げ、親指を立てて合図を送った。

アレクセイ

「、、、、、、はい」

格納庫の中央。アレクセイはヴェルクのコックピットハッチを半開きにしたまま、操縦席に胡座をかいて座っていた。

セナ

「、、、、、、、にしてもこれ、、技術的にどうなんだ、、」

セナはヴェルクの機体表面に手を触れ、装甲の継ぎ目を覗き込む。

ラスティーヌ

「いやぁまさか、、、禁止技術いっぱいだね!」

ジェット

「うーむ、これは2378年に禁止されたやつだしなぁ、、どっから手に入れたんだ?これ作る機械は全部廃棄されたはずだぞ」

ジェットは顎をさすりながら、主脚の駆動系を凝視した。

アレクセイ

「まだ乗んなきゃダメですか?」

アレクセイは座席のクッションに深く体重を預け、天井を見上げた。

ラスティーヌ

「うん!このヴェルクってアレクセイが乗ってないと動かないんだよ!超高度な生体プロテクトかかってる!」

アレクセイ

「ふーん、、、、ユーニャ!暇だからしりとりしよ」

アレクセイは機体から身を乗り出し、近くの作業台に座っていたユーリに声をかけた。

ユーリ

「えぇ、、、良いのかよ、、アレクセイ、、、」

アレクセイ

「いいんじゃない?俺なんもしてないし」

ユーリ

「そうかよ、縛りは?」

ユーリは腰を上げ、機体の足元まで歩み寄った。

アレクセイ

「ご飯でしょ」

ユーリ

「じゃあ俺は機械」

アレクセイ

「サンドイッチ!」

ユーリ

「ち、、、、ち、、、、ちぇ、、チェカリングの法則」

アレクセイ

「な、、、機械つっただろ、、、、そこで法則まで含めるの!?」

アレクセイはコックピットの縁を叩いた。

ユーリ

「えぇ、でもチェカリングの法則自体は今の機械全般に使われてるし、宇宙空間では表面積の計算に使われるんだからありだろ」

アレクセイ

「それ言ったら全部法則で終わるじゃん!ズル! 」

ユーリ

「ズルじゃない!」

アレクセイ

「ぬ!、、、、く、、、クーリッコ寿司!」

アレクセイはコックピットから飛び出し、微重力の中でユーリに向かって浮き上がった。

ユーリ

「地名までつけたらそっちこそなんでもありじゃないか!」

アレクセイ

「んだと!そっちが先に言ったんだろ!」

二人は空間を蹴り、互いの胸ぐらを掴んで格納庫の空中でもみ合いを始めた。

セナ

「何やってんだアイツら」

セナは冷めた視線を宙に浮く二人へ向けた。

ジェット

「あ!そっち危ないから行ったらダメだ!」

ジェットは腕を伸ばしたが、二人は慣性に従って機体の鋭利なパーツの方へと流れていく。

ラスティーヌ

「とうっ!新兵器、宇宙に投げ飛ばされた人を回収する回収装置!じーしゃっく!いけ!」

ラスティーヌは手元のランチャーの引き金を引いた。

アレクセイ、ユーリ

「ぅえ!?、、ちょ、、、ぐあ!!」

発射されたのは粘着弾だった。

命中と同時に広がるトリモチ状の物体が二人を絡め取り、ラスティーヌがリールを巻き取ると、塊となった二人が彼女の持つ機械に叩きつけられた。

ラスティーヌ

「どや!」

ジェット

「こら!ラスティーヌ!それ良いけど、次からそれ禁止!他の機械についたらどうすんだ!それを落とすのに専用の薬剤が要るんだぞ!使う馬鹿が居るか!」

ジェットはラスティーヌの頭に拳を落とした。

ラスティーヌ

「ぬぉぉぉおおおお!頭を殴ると脳細胞が潰れて馬鹿になるんだぞ!」

ジェット

「後先考えられずに生み出すんなら馬鹿になっとけ!」

アレクセイ

「、、、、、、、、ネバネバする、、、」

アレクセイは粘着剤の中に指を突き入れ、その感触を確かめた。

ユーリ

「ちょ!これ動けば動くほど絡む!めんどくさい!!」

ユーリは手足を動かそうともがくが、粘液が糸を引いて体中に絡みつく。

アレクセイ

「、、、、、これが、、、、ゴキブリの気分なのか、、、ふむ、、、ゴキブリってなんでも食うから俺もこれ食えるかな、、ユーニャ、次すしだから、しだぞ!」

アレクセイは鼻先に付いた粘液を舐めようと舌を出した。

ユーリ

「うるさいぞ!アレクセイ!!!!」

セナ

「、、、、、、、馬鹿しか居ないのかここは、、、、、」

セナは額に手を当て、視線を床に落とした。

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