アレクセイは両腕に抱えたサンドイッチを机の上にぶちまけた。
扉のプレートには、『アレクセイ、ユーリの部屋』という文字が刻まれている。
アレクセイ
「、、、、うま、、、、、」
アレクセイは一切れを掴み、中身をこぼしながら口に詰め込んだ。
ユーリ
「ねぇアレクセイ、、これからどうするのさ、、」
ユーリはベッドの端に腰を下ろし、咀嚼を続けるアレクセイを凝視した。
アレクセイ
「母さんの元に帰る」
アレクセイは手を止めず、次のサンドイッチを手に取った。
ユーリ
「む、、僕ら犯罪者だよ!帰れるの?どう思ってんのさ!」
ユーリは立ち上がり、机の端にあるボタンを叩いた。空中にニュース番組のホログラムが浮かび上がる。
『火星にて新種の作物が開発されました。以前より甘くて美味しいスイカです、うーんあまーい』
アレクセイ
「、、、、、、、、、、、スイカだって」
アレクセイは咀嚼を止め、画面の中で切り分けられる赤い果実を見つめた。
ユーリが指先でホログラムを弾き、次々とチャンネルを切り替えていく。
だが、どこを映しても学園都市の爆発や機体の戦闘については触れられていなかった。
ユーリ
「な、、、、、情報統制、、、、、」
ユーリの手が空中で止まった。
アレクセイ
「、、、、、、へぇ、、見てみて人口肉だー、珍しくない?こんな感じなんだ」
アレクセイはサンドイッチのパンをめくり、指先で薄い肉片を摘み上げた。それをユーリの目の前に突き出す。
ユーリ
「っ、、、、アレクセイはおかしいと思わないの!」
ユーリはアレクセイの手を振り払った。
アレクセイ
「知らない、俺は母さんの元に帰る」
アレクセイは肉片を口に戻し、椅子に深く背をもたれさせた。
ユーリ
「帰ってどうすんの!」
アレクセイ
「うーん、ダンバ爺の畑手伝うとか、オミネアおばさんの酪農を手伝うとか?」
アレクセイは天井を見上げ、指を折って数え始めた。
ユーリ
「な、、、、いや、、、っ、、そういうことじゃ」
ユーリは頭を抱え、床に視線を落とした。
アレクセイ
「じゃあどういう事なの?身分も書き換えたんだし、別に」
アレクセイは机の上の包装紙を丸め、一つにまとめた。
ユーリ
「いや、、、その、、だからこのまま、、戻るなんてしなくて、、、」
アレクセイ
「、、、、、、、、、、寝ようぜ、、、もう、、、疲れたし」
アレクセイは立ち上がり、丸めた包装紙をゴミ箱へ放り込んだ。そのままベッドに倒れ込み、毛布を頭まで引き上げる。
ユーリ
「、、、、、、、、、、、アレクス、、、、、」
ユーリはしばらく立ち尽くしていたが、やがて腕のデバイスを操作して部屋の照明を落とした。
暗闇の中、衣擦れの音だけがして、ユーリも反対側のベッドに横たわった。
