75話:通信出来ても実地までは遠い。

カナリア
「、、、、、チッ、、、一体なんなんだこの事態は!」
月都市の冷たい空気が、カナリア大佐の苛立ちを増幅させる。

彼女の目の前に広がるのは、最新の都市機能が麻痺し、火の手が上がる異常な光景だった。


レジット
「どうやらなんかいきなり大きい船が降りてリグマシーナギアが降りて憲兵隊と戦闘、その後爆発起きて巨大なリグマシーナギアが出て来て、いきなり超でかい音鳴った後更に爆発したそうです」


レジットがタブレットの情報を読み上げるが、その内容はあまりに支離滅裂で、報告としての体をなしていない。
カナリア
「意味が分からないんだが!?」
レシーヌ
「え、、、えぇと、、、映像解析した結果、、これあの、、、学園都市に居た禁止技術満載のリグマシーナギア、、、らしい、、です、、、」


レシーヌ技術大尉が、震える指先でノイズ混じりのホログラム映像を空間に浮かび上がらせた。

そこには、闇を切り裂きマッハの領域で動く漆黒の機体の姿が映り込んでいる。


カナリア
「んだと!?、、、おい!ここに来るまでに出航させて居ないだろうな!!」
レジット
「えぇと、、、、それが、、、、」
レジットは気まずそうに頬を掻き、足元で転がっている、猿ぐつわを嵌められ縄で縛られた地元軍兵の一団を指差した。


カナリア
「なんだ!コイツらは!」
レジット
「、、、、、賄賂で好きに通してみたいです、、、はい、、、えぇ、、40 隻ほど、、、逃げてます、、、」
カナリア
「はぁ!?、、、なんなんだここの月都市は!!おかしいだろ!!他の月都市でこんな事一切無いぞ!!!」
カナリアの怒号が通信所に響き渡る。

帝国の秩序を重んじる彼女にとって、この都市の腐敗ぶりは理解の範疇を超えていた。


レシーヌ
「これ、、もう、、どういう事、、、禁止技術、、、、はぁ、、、」
レシーヌはモニターに映る異常な数値の羅列を見つめ、科学者としての常識が崩壊したかのように頭を抱えた。
カナリア
「くそ!情報が錯綜し過ぎている!、、、何者かが情報を意図的に、、チッ!」
レジット
「タバコやめたらどうです?」
カナリア
「うるせぇ!どうせ空気浄化装置が作動すっから良いんだよ!!」
カチッ、とライターの火が灯る。カナリアは深く、肺の奥まで紫煙を吸い込んだ。


カナリア
「ふぅぅぅ、、、はぁぁぁぁぁああああ、、、、よし、、、、」


吐き出した煙と共に、彼女の思考がプロの軍人のそれへと切り替わる。瞳に鋭い光が戻った。


カナリア
「まずは体育館と市民館を解放、

ここの軍警ではなく、病院の職員を駆り出して人数を管理させろ、

アイツらは医療使信に逆らう行為は不可能だ、

トリアージに関する権限と場所の権限を私の権力の元解放させる、、

ここの軍兵は全員逮捕だ、、白か黒かは後で良い、まずは避難民が先だ、

レジット少佐は病院へいけ!、レシーヌ技術大尉は映像データを処理してまとめろ!

キャメロット中佐、ナレクソン大尉を中心に部隊を組み軍兵の捕獲!

クリニード少佐はリグマシーナギア部隊を使い不法行為を働くものが居ないかを監視しろ!良いな!!文句は!!!」


レジット、レシーヌ、キャメロット、ナレクソン、クリニード
「ありません!」
カナリア
「なら行け!!!」
軍靴の音が激しく響き出す。

混沌の極致にあった月都市に、ようやく帝国という名の、巨大で冷徹な秩序が楔を打ち込み始めた。

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