マチル
「よ!」
ピピッ……ジジジ……ピーン!
マチルが机の端にあるボタンを叩くと、円卓の中心部がスライドし、そこから青白い光が噴き出した。
空中に、月都市アポロの街並みが詳細なホログラムとなって浮かび上がる。
キャサリー
(、、、、、、、あれ、あそこまで詳細な地図ってアクセス権限、、、)
キャサリーは身を乗り出し、軍や政府の重要拠点まで網羅された光の地図を凝視した。
ユーリ
「、、、、、、、、、あの」
ユーリが椅子を鳴らして立ち上がる。
マチル
「なんだ?」
マチルはホログラムの縮尺を調整しながら、視線だけをユーリへ向けた。
ユーリ
「あのそもそも!!キャサリーを助ける意味はありませんよね!貴方達に!逃げるべきでしょ!」
デニス
「まぁまぁ良いんじゃないの?」
デニスは背もたれに深く体を預け、天井を見上げながら気の抜けた声を出す。
船内には依然として、のほほんとした空気が漂っていた。
ユーリ
「(っ、、、分かってない、、、)、、、、国家への反逆でしょ!犯罪でしょ!それはテロリストと同じで」
ユーリの声が尖る。キャサリーは隣に座るアレクセイの手を縋るように握った。
アレクセイはその手を握り返すことなく、無機質な動作で手元のジュースを口に運ぶ。
マチル
「だがまぁ私らお尋ね者だしなぁ既に、、お前らも、、一回犯したら二個も三個も同じさ」
マチルは淡々と地図のポイントを指でなぞった。
ユーリ
「っ、、違いますよ!!助ける事が正しいからといって暴力に走るんですか!?おかしいんじゃないですか!!」
アレクセイ
(まーたはじまった、、、、、こうなると長いんだよなぁ)
アレクセイはコップの底に残った氷を揺らし、ユーリの熱弁をやり過ごすように目を閉じた。
その時、奥の暗がりから白髪の男が身を乗り出した。
「意気のいいガキだな!お前は!良いぞ!」
ユーリ
「何が良いんだよ!」
マチル
「やめろ、、、、オンバス」
オンバスと呼ばれた男は、身をよじって豪快に笑った。
オンバス
「いいじゃねぇか、良いじゃねぇか!今まで拾ってきたガキはこう馬鹿みたいな正論吐く甘ちゃん居なかっただろ!それが良いんだろ!!ななははははははははは!!」
アレクセイ
(うるさ、、、この人)
キャサリー
(声でか)
デニス
(アイツ絶対健康診断で難聴認定受けろ)
三人はそれぞれ顔をしかめ、オンバスの怒鳴り声のような笑い声から耳を遠ざけるように首をすくめた。
マチル
「はぁ、、ユーリ、、君にここから出て、、、行く当てはあるのか?」
マチルはため息と共にホログラムを消し、ユーリを真っ直ぐに見据えた。
ユーリ
「、、、、、、、、それは、、、」
ユーリの言葉が詰まる。
マチル
「私らは別にどうせどこでのたれ死んでもいい奴らなんだ、一泡吹かせたいだろ?」
ユーリ
「、、、、、む、、、それは1番人を苦しめる、、自分がどうでも良いからといって傷つけていい理屈には」
キャサリーがアレクセイの耳元へ顔を寄せた。
キャサリー
「、、、、、ユーリってもしかして結構正義漢?」
アレクセイ
「どうだろ、、、、ここまで酷かった記憶はないけど、、出来る事なら何もせずにキャサリー連れて逃げたいけどね」
アレクセイは囁き返し、わずかに視線を外した。
キャサリー
「ぇ////、、、、そ、、、それって、、、」
キャサリーの頬に赤みが差し、握っていた手に力が入る。
アレクセイ
「キャサリーはどうしたいの?」
キャサリー
「まぁ、、、アレクセイが望むならまぁ、まぁまぁまぁ、、まぁまぁまぁあまあ!、、、イケメンだし!?王子様との?きゃ!まぁしょうがないよね!!!!!」
キャサリーが突如として舞い上がり、声を弾ませる。
ユーリ
「うるっさいよ!!キャサリー!!!!」
ユーリの怒号が響き渡る。アレクセイは深く、重いため息をつき、両手で顔を覆った。
アレクセイ
「なんなのもう、、、、、母さんに会いたい、、、」
マチル
(若者の熱気感じるなぁ、、、、、)
