6話:赤い髪はメインヒロインでしょうが!

アカデムグロードの目抜き通り。

夕闇が迫る中、街の灯りがひとつ、またひとつと灯り始め、華やかな夜の顔を見せようとしていた。

そんな喧騒の中、一台の大型トラックがアレクセイの視界を横切る。

アレクセイ

「なんだろ?あれ、、、」

荷台に固定されているのは、武骨な重機のようなパーツだ。

ユーリ

「最新鋭の、、、、、リグマシーナギアかな?」

アレクセイ

「あぁ畑にあるやつ、、、でもこういう運搬だったけ?」

ユーリ

「うーん、、もっとトラクターに雑に転がされてるイメージだったけどなぁ、、やっぱ都会は凄いなぁ、、、」

どこか違和感を覚えながらも、彼らはそれを尻目に、煌々と光を放つスーパーの自動ドアをくぐった。

しかし、店内に足を踏み入れた途端、二人の表情は同時に引き攣る。

アレクセイ

「、、、、、ここがスーパーか、、、、、なんか、、、狭くない?」

ユーリ

「うん、、、なんだろ、、、、、、まぁ、、、ラスツが広すぎたって思おうよ」

アレクセイ

「、、、え!?高くない!?、、、魚でこの値段?、、さっき港あったじゃん!」

棚に並ぶ、痩せた切り身に貼られた驚愕のプライス。

故郷のスーパー・ラスツの豊かな食生活に慣れた彼らにとって、それはもはや理解不能な領域だった。

ユーリ

「うわ、、しかもちっさい、、逆になんでこんなお菓子のが安いの?しかも種類多すぎでしょ、、要るの?こんなに」

物流の歪みが、棚の上のアンバランスな価格差として現れている。

不躾がましいほどに声を上げ、田舎者丸出しで陳列を指差す二人に、周囲の買い物客たちが冷ややかな、あるいは憐れむような視線を向けた。

アレクセイ

「えぇ、、牛乳なんて近所のおっちゃんに手伝いついでに貰えに行けばいいじゃん、、こんな高いの?、、うわぁ」

その時、棚の向こうから鮮やかな赤い髪が飛び出してきた。

赤い髪の少女

「おにーさん!もしかして田舎から来たの?」

ユーリ

「誰ですか貴方は」

警戒を隠さないユーリの前に、少女は身を乗り出して屈託のない笑みを向ける。

赤い髪の少女

「あぁ、、私?私の名前はセロニカ!、二人は?どこのクラス?」

アレクセイ

「?、、、、クラス?」

セロニカ

「ほらもらったでしょ?寮母さんからさ、、私も一年なんだ、街で見たからさ!イケメンだなって」

ユーリがポケットを探り、先ほど受け取ったばかりの金属製のプレートを取り出す。

ユーリ

「多分これかな?、、、、Aクラスだね、、何クラスあるんだろ」

アレクセイ

「俺は?ユーニャ」

ユーリ

 「同じクラスだね」

アレクセイ

 「そう、、、なら良いやどこでも」

その平然としたやり取りを聞いた瞬間、セロニカの表情が激変する。

セロニカ

 「え、、、え、、Aクラス!?、、、え?本当に!、、、、」

ユーリ

 「どうしたんだ、、この人は」

アレクセイ

 「、、、、、、、、、、、、、、、、、、薬中じゃね?」

ユーリ

 「コラ!アレクセイ!」

アレクセイはそっぽを向いてお菓子を物色し始める。

セロニカは、信じられないものを見るような目で彼らを交互に見つめ、声を震わせた。

セロニカ

 「えぇと、基本的に学園都市ではA〜Eクラスまであって、成績順で上に行く様になってるんだ、上になればなるほどポイントを多くもらえるんだよ」

ユーリ

 「ふぅん、、なるほど、、、ありがとう教てくれて、、、じゃあ、、、、じゃあね?」

セロニカ

 「え!?それだけ!?、、これアレじゃないの!?よくある小説的にさ、イケメン二人が美少女私を取り合う!的な、、、やつじゃないの!?」

ユーリ

 「、、、、、美少女と言うには、、、溌剌すぎるんじゃ、、ないかな、、まぁ、、自信があるのは良いことだよ、、、」

アレクセイ

 「腹減ったから部屋戻ろうぜユーニャ!」

ユーリ

「わかったよ!今行く!」

置いていかれそうになり、セロニカは顔を真っ赤にして地団駄を踏んだ。

セロニカ

 「ぐ、、、ぬぬぬ、、、おのぼりさんの田舎者を捕まえる計画が、、、、、イケメンの価値を分かってない!!田舎者の方がイケメン率が高いのよ!こうね、、芋っぽいとか服装とかはファッション誌見せればどうにかなるのよ!!もうなんなのよ!あの二人!私美少女でしょ!可愛くない!?この髪の艶!きめ細やかな白い肌!大きいおめめにチークをあしらって、、って話聞いてる!!??ちょお前ら、、まじ、、ねぇ!ちょっと!置いてかないでってばあ!!! 」

背後で絶叫する少女を完全に無視して、アレクセイは無機質な店内の通路をスタスタと歩いていく。

アレクセイ

 「、なぁ、、、、マジで薬やってんじゃねぇか?、、、あれ」

ユーリ

「故郷には、、、居なかったタイプの女の子だ、、、、都会、、怖い、、、」

賑やかなスーパーの照明。バカバカしくも平和なやり取り。

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